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名曲"Vira de Frielas" [月本一史]

 こんばんは、ポルトガルギター奏者でファド研究家、ファド原理主義者の月本一史です。

 先日、所要で知人とリスボンの北へドライブをしてきました(知人60歳過ぎの鉄鋼関係者)。
 まずはOdivelaへ。このあたりは昔リスボンへの食料供給地として
大農園がたくさんありました(写真失敗)。そのことは、Fado Zé Grandeでよく歌われる
"Quinta da Odivela"("Quinta da Zé Grande"とも)という詩で有名です。

 ほいで、ついでやからと、名曲"Vira de Frielas"の舞台、Frielasにも寄ってきました。
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今ではLoures市の中に位置している村で、作曲者である天才ギタリスタJosé Nunesは
ここにしばらく住んでいました。
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(José Nunesが住んでいたPonte de Frielas近辺)

このあたりも昔はQuinta de Olivelasの一部だったんですが、今ではこのとおり(写真やや失敗)
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でっかいIKEAができていました。
IKEA de Frielasというネタを言いたかったがための投稿です。

では。

おまけ:突然の大雨で、川になってるリベルダーデ大通り(≒夕立時の新御堂筋)。
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Guitarra Portuguesaのはなし [月本一史]

 こんにちは。ポルトガルギター奏者で古典ファド研究家、ファド原理主義者の月本一史です。

 最近は日本から飛行機に乗る際、楽器の持ち込みがかなり厳しいので(海外から乗る際はフリーパス)、
楽器は持って行かずにこちらで知り合いや師匠から借りて弾いています。
 今回借りているのは、知人に借りたGilberto Grácioの1997年製(写真参照)。
おっきな音は出ませんが、非常に伸びのある響きをもっています。
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 Grácio家は、この100年のファド界を席巻した楽器作家の一族です。
名ギタリスタ、名ヴィオリスタたちはこぞってGrácio家の作った楽器を使用しました。
当代の当主Gilberto Grácioは、余力を残した状態で後進の育成をしたいとのことで、
数年前に引退宣言をして学校を作りました。
 ちなみに、一昨日は先代が作成した中でも5本の指に入るという楽器を借りて弾きました。
こちらも音は大きくなく、またしっかり弾かないと鳴らない一方で、
いったん鳴りを聞いたら他の良い楽器を弾いても安物に聞こえてしまうほど
深い響きを持っていました。私の師匠の楽器なのですが、次男(私を真ん中に入れると三男)の
Ricardo Parreiraが何度となく借りパクを試みては失敗してきました。

 もう一方の名家といえば、Cardoso一族が挙げられます。こちらは1796年に初めて
Guitarra Portuguesaを作ったAntónio Silva da Leiteからの直接の流れを汲む一族。
当代のÓscar Cardosoはまだ壮年で、意欲的に製作を続けています。
 私が日本で使っているのは、このÓscar Cardosoの大当たりと言われている楽器で、
元はと言えば知人が奥さんの誕生日のために製作を依頼したものでした。
 Cardoso家の楽器は「よく鳴る」という評価がされており、タッチのそれほど強くない私には
合っているのかもしれません。また、華やかかつ繊細な響きも大きな魅力です。

 てなわけで、Casa do Fadoで通ぶって「そのGuitarraはGrácio?それともCardoso?」と
ギタリスタに聞いたりして、ヤな顔をされるのも一興かもしれません。
そのときは、私が言えって言ってたなんて言わないでね(Tripelicado風)。

 ではでは。
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クリスマスのイルミネーション(ちょっとしょぼめ) [月本一史]

 こんにちは、ポルトガルギター奏者で古典ファド研究家の月本一史です。
 リスボンはクリスマス&新年のイルミネーションの季節。
てことで、その写真をいくつか。不況のあおりを受けてか、私の住んでいたころより
ずいぶんしょぼくなったもんです。

Augusta通り
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その周辺の通り
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Rossio広場
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Ciado地区の入り口Garrett通り
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Liverdade大通り
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おまけ
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リスボンなう [月本一史]

 こんにちは、ポルトガルギター奏者で古典ファド研究家の月本一史です。
 訳あって本日よりリスボンに来ております。ヨーロッパはかねてよりの大寒波。
フランクフルトの搭乗ゲートで1時間半、滑走路上でさらに1時間半待たされて、
宿にはチェックイン時間ぎりぎりの到着でした。
 いつもの寮がとれなかったので、最近できたゲストハウス(例のごとく中は古い)に
宿泊しております。無線LANのある環境は、スマートフォン使用者にとってはうれしいところです。

 ということで、年末の帰国までちょいちょい書き込んでゆこうと思います。
即時性のある情報はM.T.E.C公式twitterに(M.T.E.C公式サイトにもウィジェットがあります)、
つっこみ多めの情報は私の個人Web日記で(URLは各自で探してネ)、
個人的なつぶやきはtwitterの私の個人アカウントにて(こっちも各自で探してネ)に更新予定です。
ちょちょっと探したら見つかりますんで、どうぞ宜しくお願い致します。

 では、今から知っている食堂で昼食をとってから、ファド博物館に行ってきます。

月本
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リスボンFesta do Fadoレポートその2 [月本一史]

こんにちは、Esquina do Somポルトガルギターの月本一史です。
引き続き、Festa do Fadoのコンサートレポートです。今回は19日の22時からSão Jorge城で行われたレジェンダリーコンサート。出演者は、事前のカタログの順ではJoão Ferreira Rosa、Maria da Fé、Beatriz da Conceição、Maria da NazaréそしてArgentina Santos。全員がCasa do Fadoのトップクラスどころか、ファドの歴史書に必ず名前が載るような面々です。

伴奏も豪華。カタログには名前がなかったので、私が見た限りではポルトガルギター:Paulo Parreira、José Manuel Neto、ギターは名前を失念、ベース(Viola-Baixo):Joel Pina。なんとJoel Pina。御年90歳。歴史的録音には必ず彼の名前。Armandinhoの伴奏もしていた人物です。ポルトガルギターの二人は、当代の名伴奏者2トップ。ギターの彼はどこで見たんだっけか、堅実な伴奏をする人物です。この伴奏陣だけでも入場料以上の価値。ちなみにインストゥルメンタル曲は1曲もなし。この構成もまた、このコンサートの意味合いの重厚さを際立たせていて良かったです。

さて、最初に歌ったのはMaria da Nazaré。上品なルックスとストレートで力強い歌声。嫌味のない感じで、今まで聞いた彼女のファドの中でも特に好印象。往年のヒット曲『Rosa Branca』で年配層は大喜び。4曲。nazare.jpg

次にBeatriz da Conceição。トレードマークのバラの髪飾りをつけ、余り音節をがくんと落としてゆく個性は健在。歌い終わった後サイドの椅子に座って他の人が歌うのを聞いている間、カメラに手を振ったり、歌にあわせて踊ったり、自由な人だというのも良くわかりました。嫌な意味ではなく。4曲。beatriz.jpg

続けて、手を引かれてJoão Ferreira Rosa登場。なんとも神々しい。夢路いとし喜美こいしさんの最晩年の漫才を現場で見た経験があるんですが、そのときの登場と似た感動を受けました。服装は、黒シャツにおっきめのデニム。名物半拍とばしは、他の人が彼の曲『Arraial』を歌う際にも真似ます。Joel Pinaは「いつものことだよ」という顔で合わせていました。歌う前には必ず「Vou tentar a cantar『(曲名』(~を歌ってみます)」。『Embuçado』『Arraial』を含む4曲。ちなみに登場曲はBeatrizと同じ『Fado Cravo』。joao.jpg

4人目はMaria da Fé。おなじみの大きな声、自信に満ち溢れたエンターテインメント。詩人であるご主人のJosé Luís Gordo作の詩を中心に4曲。fe.jpg

おもむろに伴奏隊がFado Menorを弾きだし、Maria da Nazaréが立ち上がって4行歌う。次のBeatrizは座って足を組んだまま4行。João Ferreiraは、最初マイクを口に当てるのを忘れつつ4行。Maria da Féはしっかり4行。そののち32小節ほどあって、手を引かれたArgentina Santos85歳ゆっくり登場。なんとなく怖い。満場の拍手。argentina.JPG

 書くか迷いましたが、客観的レポートという観点で書きますと、Argentinaの体調が少し心配なステージでした。2曲目あたりのイントロで突然ふらつき、Maria da Nazaréが駆け寄る場面がありました。その曲の終盤まで背中を支えられて歌いきるArgentina。Maria da Nazaréは自分が目立たないように途中からArgentinaの後ろに回りこみ、一番盛り上がるところでは席に戻りました。きっといい人です。次の曲では、何百回も歌ってきた詩を途中で飛ばす。会場が励ましの拍手と、緊張感で包まれました。最後はお約束の『Lágrima』。「Vou tentar, vou tentar」今度のこの台詞は、お約束でもなんでもなく。あふれる涙を指で拭うBeatriz。

 無事全曲歌いきり、最後はMaria da Fé主導で『Cheira a Lisboa』の長調部分だけを繰り返し。途中、ステージ上のプライベートな会話をオンマイクでしてしまい、自分で爆笑するBeatriz。それぞれが出演しているというだけでとんでもないコンサートなのに、各自のキャラクターが鮮明に出ていて、航空券代の元を充分に取ったようなコンサートでした。fin.jpg

明日はまた違ったタイプのコンセプトコンサートを。

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リスボンFesta do Fadoレポートその1 [月本一史]

 こんにちは、Esquina do Somポルトガルギターの月本です。現在所用でリスボンにおります。
 奇しくも今月はファドのお祭り月間です。Casa do Fadoはもちろんのこと、既にいくつか
コンサートに行ってきましたので、ちょいちょいレポートしてみようと思います。

 まずは17日にファド博物館の屋外カフェで行われたコンサート。
これはギタリスタのJosé Manuel Netoが著名なファディスタを迎えて伴奏するというシリーズで、
今回のメインはMaria Amélia Proença。しかし、トップバッターでなんと「最後の伝説」
António Rochaが登場。72歳。彼は私が留学していた時期に博物館で歌を教えていましたんで、
ちょくちょく顔を合わせてお話させて頂きました。今回も本番前にちょこっとお話したんですが、
「3曲だけなんだよ」と残念なご様子。しばらく喉を悪くなさっていたんですが、復調されたようです。
彼のFado Maria Ritaは聴かずに死ねません。ソフトでジェントルでインテリジェント。

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José Manuel Neto
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Anttónio Rocha

そしてMaria Manuel Proença。8歳でデビューし、キャリア60年以上。
この翌日、彼女の功績をたたえるトークイベントが、博物館内でありました。
あまりオープンなイベントではないため、出席者はほぼ関係者とジャーナリストと学者だけでしたが、
そんなに堅苦しい話でもなく面白かったです。ちなみに、ギターは彼女のご子息。
一線で活躍しているヴィオリスタです。

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Maria Améria Proença

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おまけ
歌うのかと思いきや遊びに来ただけだったArgentina Santosと談笑するAntónio Rocha
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明日はとんでもないコンサートのレポートをします。

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京都にてセニョールTさん参加のライブ [月本一史]

こんばんは、Esquina do Somポルトガルギターの月本です。
季節柄、洗濯物がたまっています。

さて、予告編のBGMを担当したセニョールTさんの参加するライブが、
8月8日に京都のさらさ西陣であるそうです。
徳島ジャズストリートでMTさんの伴奏を担当する田中プロさんのライブにて
ゲストとしてポルトガルギターを弾くとのことです。
詳細は以下の通り。

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■2009/8/8(Sat)
『otoniwa vol.2 SummerSpecial』

■さらさ西陣
■開場 17:00 開演 18:30
■\1,000-(Drink別)
※男女問わず当日浴衣・着物を着用の方に限り特典有!!

■出演
・ジャンガラン
・セニョール'T'
・サエキ シンイチロウ
・and more

■DJ
・DAIGUUJI
(MONSTER'S CABARET/otoniwa)
・DAIGOW(MOTORS/otoniwa)

■問い合わせ先/さらさ西陣
・電話/FAX:075-432-5075
・mail:nisijinsarasa@yohoo.co.jp
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ぜひぜひ足をお運び下さい。私も都合をつけて行こうと思います。
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